動物から剥ぎとった"皮"を腐らないようにすることを"鞣す"と言います。そして鞣された状態を"革"と言います。鞣しには主にタンニン鞣しとクローム鞣しがあり、ここではその特性と見分け方をいくつかご紹介します。
- 1.タンニン鞣し
古来からある伝統的な革の鞣し方で、植物が持つ"タンニン"という天然物質を用いて鞣す方法です。タンニンは樹皮に含まれ茶色い色をしています。タンニン鞣しは非常に時間と手間がかかる鞣し方で、全工程に数ヶ月程要します。ですから、職人の手間がかかる分、クロム鞣しの革に比べて高価であることが一般的です。 - 2.クロム鞣し
クロム鞣しとは化学物質を用いて皮を鞣したものです。塩基性硫酸クロムという化学物質を使います。現在では、レザー商品の多くはクロム鞣しで作られていると言って良いでしょう。理由は単純で、安価で大量生産することを考えると最良の選択肢だからです。クロム鞣しは1日程度の工程で鞣され、短期間で革となるため多くの供給に応えることができます。また、タンニン鞣しに比べ値段も安価なため、当然レザー商品の値段もお手ごろとなります。
それでは、少しでもレザー商品購入のきっかけとなるタンニン鞣しとクローム鞣しの見分け方をご紹介します。※あくまで参考です。鞣しの判断材料としての可能性を推測しております。
- 1.表面のニオイを嗅ぐ
単純ですが最も簡単な方法はニオイを嗅ぐことです。鼻にツンとくる科学薬品のようなニオイがしたらクロム鞣しと判断できます。タンニン鞣しは天然素材のためそこまで感じるニオイを発しません。ただし、それだけで判断できない場合があります。タンニン鞣しとクロム鞣しの両方で鞣されていることがあるからです。また、タンニン鞣しにも様々な香りがあるため、ニオイだけでは普通には判断しにくいですね。 - 2.革を伸ばしてみる
軽く革を伸ばした際に、若干伸縮性があるのはクロム鞣しである可能性が高いです。反対に、タンニン鞣しの場合は一般的に伸縮性が低く、革が固くなることが多いです。 ただし、タンニン鞣しでも行ったタンナー独自の手法で、柔らかく仕上げている場合もあるため、一概に判断できないです。 - 3.店頭販売品の小傷の有無を調べる
店頭販売品は多くのお客さんが手に取ります。その際付いた小傷があればタンニン鞣しの可能性が高いと思います。一方、クロム鞣しは傷が付きづらいため、消去法的にタンニン鞣しと判断できるわけです。ただし、この場合も優秀な販売員がいる場合は、細かなケアにより随時小傷が消されている場合もありますね。 - 4.革の断面を調べる
クロム鞣しの場合、断面が青みがかります。一方、タンニン鞣しは断面が茶色になります。ただし、この場合も職人の細かな仕事により、クロム鞣しでも断面部分を茶色に染色していることがあるため、素直に茶色だからタンニン鞣しとは結びつきません。 - 5.吸水性があるか
購入してからでないとできない可能性がありますが、革に数滴水を垂らし、垂らした部分が浸みていればタンニン鞣し可能性があります。それに対してクロム鞣しの革は水を弾きます。ただし、タンニン鞣しだった場合は水浸みするため、自己の責任のもと行ってください。念のため目立たない部分で行うことをおすすめいたします。
以上5点をご紹介しましたが、あくまできっかけです。やはり高価なものの場合は、じっくり手で感じ、最終的にはスタッフと納得のいくコミュニケーションで、鞣しに関する情報を得て購入してください!中にはスタッフでありながら、自社商品のマテリアル情報に関する知識が無知の場合もあるため、きちんと説明してくださるお店で買ってくださいね。
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