天然皮革とは?
天然皮革とは、牛や馬、豚などの動物の皮に"なめし"などの工程を加えたものを指します。原料(動物の皮)の状態を「皮」と呼び、樹液や薬品を用いて腐敗防止などの効果をもたせる"なめし"を行ったものが「皮革」になります。
天然皮革の大きな特徴は、個体差のある動物の皮が原料になっているため、同じ種類の動物から加工されたものでも、血スジ(血管の痕)やシワ、傷、虫に刺された痕に至るまで、1個1個、全てが異なる点です。
同じ加工をしても個体差は生じ、それが"天然皮革の趣"として捉えられています。
天然皮革のメリットは?
天然皮革の優れている点は多々あります。ここでは3点に絞って紹介します。
- 1.合成皮革より劣化しにくい
合成皮革は、経年劣化するポリウレタンを原料として使用していることが多いため、劣化しやすいと言われています。その点、天然皮革は丁寧に手入れを行えば、長く使い続けることができます。「良い革靴は10年、20年もつ」という話を聞いたことがあると思いますが、それぐらい天然皮革の製品は長持ちするのです。 - 2.使い続けることで深い味わいが生まれる
天然皮革は長く使い続けることで色合いや手触りが変化し、深い味わいが生まれます。購入してすぐの頃は、手触りが硬いなどの違和感があったとしても、使い続けることで"自分色"に染まってくることを実感できるでしょう。 - 3.持ち主に馴染む
天然皮革の靴や洋服は身に着けていると、だんだん体に馴染んできます。自分の体にジャストフィットした天然皮革の製品は、まさに"世界に一点ものの商品"ですよね。
天然皮革の見分け方
一般的に、天然皮革は合成皮革(フェイクレザー)と比べて高価なものです。なかには、「どうせ素人には違いがわからないだろう」と、天然皮革と偽って合成皮革に高額をつけて販売する悪徳業者も存在するようです。そこで、天然皮革の見分け方、チェックポイントを3つ紹介します。
- 1.個体差がある
冒頭でも説明した通り、天然皮革には必ず個体差が生まれます。同じタイプの製品でも、シワの入り方や傷の数など、異なる点が多々あります。合成皮革の場合は、画一化して生産されているので、このような個体ごとの違いは大きく生じません。同タイプの製品が複数ある場合はチェックしてみてください。 - 2.匂いが違う
天然皮革と合成皮革の大きな違いは匂いです。天然皮革は動物の皮を加工する際に使われるクロムやタンニンなどの匂いがしますが、合成皮革は無臭または油臭さがあります。この見分け方は、天然皮革の匂いをよく知っていると精度が上がるので、まずは専門店などで確かめておくとよいかもしれません。 - 3.「メンテナンスフリー」の表示の有無
合成皮革は経年劣化しますが、前述の通り、天然皮革は丁寧な手入れを続ければ長年使い続けることができます。そのため、「メンテナンスフリー(手入れ不要)」の記載がしてある製品は天然皮革ではないと判断することができます。
天然皮革にはさまざまな種類がある
天然皮革には、牛革や馬革、豚革など、さまざまな種類があります。さらに、牛革1つとっても、生後6カ月以内の子牛の皮は「カープ」、生後6カ月から2年以内の牛の皮は「キップ」と呼ぶなど、細かく分類されています。
カープであればキメが細かく、キップはカープに比べてやや厚手になるなど、それぞれに特徴があり、つくり手は製品化する際に「肌触りを重視するからキップを使う」など、特徴を考慮して皮革を選択しているのです。
天然皮革は牛や馬、豚に限らず、羊、ヤギ、カンガルー、珍しいところではダチョウ、ワニなど、多くの動物の皮から加工されています。今後の記事では、動物の種類別によって、皮革にどのような特徴が生まれるのか、といったところも紹介していきたいと思います!
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